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ジョーンズ・デイ・アラート:ベルギーが競争法手続きにおける新たなリーニエンシー・ガイドラインを導入

ベルギー競争当局は、カルテルに対するリーニエンシー・プログラムについて新たなガイドライン(以下「本ガイドライン」)を公表しました。本ガイドラインは、2016年3月22日に施行されました。リーニエンシー・プログラムは、ベルギー以外にも大半の欧州内の国及び米国において何らかの形で存在しており、カルテル通報者に対し、課徴金の全額免除又は大部分の減額のようなインセンティブを提供することによって、競争者間の秘密裏のカルテルを摘発することを目指したプログラムです。

新たに規定された本ガイドラインの最も注目すべき点は、ベルギー競争法のもとで免責を求める個人に適用される新たな規定に関するものです。雇用者によるリーニエンシー申請と同時に、当該従業員は免責を求めることができます。当該従業員は、別途、免責を求めることができるということです。従業員が会社と並行して又は会社と独立して、申請できるという状況は、利益相反を生じさせる可能性があり、またリーニエンシーの順位及び手続きに問題を生じさせる可能性もあります。以下に記載する通り、本ガイドラインは、これらの懸念のうち、いくつかの(全てではありませんが)懸念に対応しています。

本ガイドラインは、リーニエンシー申請の順位について、個人のリーニエンシー申請は、会社の申請と分けて考えるということを確認しましたが、これは適用される減免を算定する上で重要といえます。会社の場合と異なり、個人は、その申請順位に関わらず、免責の資格を得ることができます。個人に課される協力義務も会社の場合に比べ軽微であり、ベルギー競争当局が所持していない情報を提供する方法によっても、又はカルテルに関する違法行為の存在を認める方法によっても、当該個人がカルテルの存在を証明することに寄与するだけで十分であるとされます。

本ガイドラインは通報手続きについても規定しています。


  • リーニエンシー申請を提出する前に、会社は匿名で、免責がなお取得可能か問い合わせることができます。しかし、順位についての情報は取得できません。免責がなお取得可能か問い合わせることは、申請者が自らが第一順位となり得るかどうかのみ知ることができるということを意味します。
  • リーニエンシーを求める際、会社又は個人はGeneral Auditorとの会合を申し込まなくてはならず、その会合で、事業者の名称及び住所、他のカルテル参加者の身元、関連する商品及び地理的市場、カルテルの性質、その推定期間といった基本情報を提供する必要があります。この会合の日付がリーニエンシー申請者の順位を決定します。提出すべき情報を集める、提供するのに時間がかかるようであれば、事業者は「マーカー」を取得し、一時的に申請順位を確保することもできます。
  • 本ガイドラインは、口頭でのリーニエンシー申請が可能であることを確認しており、それにより損害賠償請求に伴う潜在的ディスカバリー命令に対し、良い防御策が提供されます。
  • 欧州委員会に対しリーニエンシー申請を提出した申請者は、ベルギー競争当局が手続きを開始する可能性がある場合、ベルギー競争当局に対し簡易な申請を行うことができます。
  • 本ガイドラインは、リーニエンシー申請による開示書類の使用目的を限定し、またベルギー競争当局は、リーニエンシー申請を損害賠償請求の係る裁判所に送付するものではないということを確認しています。

本ガイドラインについて重大な欠点は、それがベルギー経済法(Belgian Code of Economic Law)においてリーニエンシーが可能である行為が限定されている点です。本ガイドラインは、カルテルに限定されています。ここでいうカルテルは本ガイドラインにおいては、価格協定、市場・顧客分割、生産調整、輸入・輸出制限及び集団ボイコットと定義されています。ベルギー経済法の下では、リーニエンシーは、垂直的制限といった他のタイプの制限的行為においても利用可能です。このことは本ガイドラインの適用につき不必要な不明確性を生じさせるに至っています。このような不明確性は、本ガイドラインの適用範囲を、ベルギー経済法の下でのリーニエンシー・プログラムの適用範囲と一致させることで簡単に避けることができます。

上記にも関わらず、本ガイドラインは、リーニエンシー・プログラムに明確性及び一貫性をもたらし、また個人又は事業者からのリーニエンシー申請の引き金になり得るものです。

オリジナル(英語版)は、“ Antitrust Alert: Belgium Introduces New Leniency Guidelines on Competition Law Prosecutions”をご参照ください。