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欧州司法裁判所、競争法上の届出が不要な企業結合取引について、長く休眠状態にあった「市場支配的地位の濫用」の法理による審査を復活

欧州司法裁判所は、Towercast社がEU企業結合規則の解釈に関する予備判決を求めた事件において、届出要件に該当しない企業結合取引についても、「市場支配的地位の濫用」を禁止するEU機能条約第102条の違反があると認める場合、各加盟国の競争法当局は取引を調査・禁止できるとの判断を行いました。

従来、EU及び加盟国においては、届出不要(又は実行済み)の取引を競争当局が審査対象とすることは極めて稀でしたが、昨年、欧州委員会は新たなガイドラインにより、欧州域内での売上がほとんど無い企業の買収についても、対象企業が将来にわたり競争上重要な地位を占める可能性がある場合には、各加盟国の競争当局が欧州委員会の審査を求めることを推奨していました。

本判決は、同ガイドラインに基づくEU企業結合規制第22条審査に加え、競争当局が届出不要の企業結合取引を審査対象とする新たな根拠となりました。本判決の判示に基づくようなクロージング後の取引の審査は、今後も稀な事案になると考えられるものの、買収者が取引実行前から高い市場シェアや「市場支配的地位」を有しているような場合には、たとえ対象企業に欧州域内での売上が無く届出要件を満たさない場合であっても、競合他社や顧客からの働きかけにより、競争当局によるクロージング後の審査が行われるリスクが生じることに留意する必要があります。

本アラートは、欧州における企業結合取引に関心を有する日本企業に重要なトピックと考えられることから紹介する次第です。詳細は、Jones Day Alerts “EU Court of Justice Revives Long-Dormant "Abuse of Dominance" Challenge to Non-Reportable M&A Deals” (オリジナル英語版)をご参照下さい。

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