EU、データへのアクセスと利用を促進するデータ法を発表
2023年12月22日、データへの公平なアクセスと利用に関する統一ルールに関する規則(「データ法」)がEUの官報に掲載されました。
データ法は、コネクテッド製品やデジタル関連サービスによって生成されるあらゆる経済セクターにわたる個人データおよび非個人データへの公平なアクセスと利用に関する規則を定めています。
データ法の概要は次のとおりです。
- 企業間および企業と消費者との間のデータアクセスに関するルールを定めています。メーカーとプロバイダーは、生成されたデータにユーザーが直接アクセスできるように製品やサービスを設計し、生成されたデータ、そのアクセス可能性、およびユーザーの権利に関する情報をユーザーに提供する義務があります。ユーザーの要求に応じて、データ所有者は、不当な遅延なく、無料で、該当する場合には継続的かつリアルタイムで、ユーザーまたは第三者がデータを利用できるようにする必要があります。これらの義務は、メーカーやプロバイダーの設立場所に関係なく、EU市場に投入されるコネクテッド製品および関連サービスに適用されます。
- データ共有に関する不当な契約条件の禁止を定め、拘束力のないモデル契約条件を導入します。
- 民間部門、公共部門機関、欧州委員会、欧州中央銀行、およびEU機関が保有するデータへのアクセスと利用のための調和のとれた枠組みを提供します。
- データ処理サービスのプロバイダーに対し、違法なアクセスと転送を防止するための技術的、組織的、法的措置を講じるよう義務付けることで、EU以外の政府によるアクセスと非個人データの国際転送に制限を導入します。
- 新しいサービスの利用において機能的同等性を達成するプロセスを促進するためにあらゆる合理的な措置を講じることをプロバイダーに要求することにより、クラウドサービスと他のデータ処理サービスのプロバイダー間の切り替えを可能にする要件が導入されます。切り替えプロセスで発生する費用は、2027年1月12日までに限り、顧客側に請求することができます。
- データまたはデータサービスを提供するデータスペースの参加者、データ処理サービスプロバイダー、スマートコントラクトを使用するアプリケーションのベンダーに対する相互運用性要件を導入します。
- EU加盟国がデータ法違反に対する罰則に関する規則を定める義務が含まれており、EU監督当局はデータ法の特定の違反に対してEUのGDPRの規定に従って過料を課すことができます。
データ法は2024年1月11日に発効します。その規則のほとんどは2025年9月12日から適用されます。
本アラートは、EUのデータ規制に関する重要なトピックであり、EU市場において製品やサービスを提供する日本企業にも大きな影響を有すると考えられることから紹介する次第です。詳細は、Jones Day Alert “EU Releases Data Act to Facilitate Access and Use of Data”(オリジナル英語版)をご参照ください。
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