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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:外国企業による英国企業買収に関する規制枠組みの改正

2018年6月11日、①軍用品の製造等を行う企業、②コンピュータ処理チップに関する知的財産権を保有する企業又は③量子技術の開発等を行う企業等(以下「該当企業」)の買収に関し、英国政府が国家安全保障等の公共の利益の観点から行う企業買収審査の範囲が拡大されました。

企業買収審査の対象となるか否かは、対象会社が売上高基準又はシェア基準を充足するか否かで判断されるところ、該当企業の買収については、通常より広範な基準が適用されることになります。

まず、売上高基準については、通常の7000万ポンド(約102億円)から100万ポンド(約1億4600万円)に基準額が引き下げられます。

次に、シェア基準については、通常の場合(該当企業以外の企業の買収の場合)、(a) 買収会社グループ及び対象会社の双方が同一又は類似の製品又はサービスを供給している場合であって、かつ、(b) 両者のシェアが25%以上である場合に基準を満たすことになりますが、該当企業の買収の場合、(a) の要件は不要で、単に対象会社の市場におけるシェアが25%以上であれば基準を満たすことになります。

この企業買収審査の範囲の拡大は、外国企業による英国企業買収につき、国家安全保障上の理由に基づく介入の拡大を目指す英国政府による長期的展望に基づく改革の一歩であると考えられています。

そして、このような英国政府の方針は、外国企業による自国企業買収への規制を強める世界的潮流と軌を一にするものといえます(例えば、米国におけるCFIUS改革について、末尾の関連記事をご参照下さい。)。

本コメンタリーは、英国企業の買収に関心を有する日本企業にとって有用な情報ですので、紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “UK Changes Merger Control Regime for Foreign Takeovers”(オリジナル(英語)版)をご参照下さい。

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