デラウェア州衡平法裁判所がCOVID-19による取引解消の問題に関する初のガイダンスを提供
デラウェア州衡平法裁判所は、AB Stable VIII LLCを原告、MAPS Hotels and Resorts One LLCを被告とする訴訟において、COVID-19に関連する取引解消の訴訟において繰り返し提起されていた(かつこれまで一度も判断されたことのない)二つの問題について、長く待ち望まれていたガイダンスを提供しました。
裁判所は、第一に、「重大な悪影響(Material Adverse Effect)(MAE)」の定義は、「パンデミック(pandemics)」や「伝染病(epidemics)」の影響を明示的にカーブアウトしていないものの、「災害(calamities)」の影響をカーブアウトしているため、COVID-19の影響が当該定義からカーブアウトされると判示しました。また、裁判所は、MAEの定義における産業全体に及ぶ影響についての広範なカーブアウトにCOVID-19の影響も含まれることも示唆しました。裁判所は、第二に、COVID-19に対応した「合理的な」運営上の変更であっても、通常通りに業務を運営するという誓約に違反する可能性があると判示しました。
関連する条項の内容は取引によって異なるため最終的な結論ではないものの、本件訴訟は、 (i) 産業全体に及ぶリスクを買主に移転させることを意図としたMAEのカーブアウトは、COVID-19のような産業全体に影響を与える予期せぬ事態をカバーするものとして広く解釈されること、(ii) デラウェア州衡平法裁判所は、COVID-19 のような予期せぬ試練の状況下であっても、契約上の通常の業務運営に関する誓約条項の解釈にあたって柔軟性を示す可能性が低いこと、を示唆しています。
本コメンタリーは、COVID-19の影響下においてM&Aを検討している日本企業にも関心のあるトピックと考えられることから紹介する次第です。詳細は、Jones Day COMMENTARIES “Delaware Court of Chancery Provides First Guidance on COVID-19 Broken Deal Issues”(オリジナル英語版)をご参照下さい。
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