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テキサス州への移転の動きとESGからの懸念

全米の企業が本社や事業所の新しい拠点としてテキサス州に注目しています。ある関係者によると、2020年末以降、テクノロジー分野だけで125社以上がテキサス州への移転を表明しています。地元の政府やビジネス業界は移転の動きに好意的ですが、ESGの観点から懸念の声も上がっています。すなわち、ESGの支持者の中には、テキサス州は他の州に比べてESGへの配慮が足りないため、テキサス州への移転や拡張の動きがESGに悪影響を及ぼすと主張し始めた人もいます。

批判の理由の一つは、テキサス州では古くから化石燃料産業が発展しており、政府と民衆の支持も強く、その分再生可能エネルギーへのアクセスが制限され、水不足や排気規制の未整備につながっているという点があります。また、投票制限、妊娠中絶規制、銃器の安全性その他の社会正義の問題など、より新しい問題について批判する声もあります。このような懸念から、テキサス州は他の州に比べてESG投資家に望まれる環境が整っておらず、企業がテキサス州に移転又は拡張することでESGリスクを負っていると主張するESG支持者もいます。また、ESG支持者は、テキサス州への従業員の移転が反ESG的な政府の政策を暗黙のうちに、あるいは全面的に支持することになると主張し、移転に反対するケースも見られるようになりました。

このような現実を踏まえ、移転を検討している企業は、テキサス州への移転が自社のESGスタンダードにどのような影響を与えるかを計画段階で総合的に検討する必要があり、また、このような懸念がある場合は事前の対応を検討する必要があります。既に移転を公表している企業も、初期的な否定的反応を免れたとしても、引き続きESGの観点から精査を行うことが有益です。ESGの分野では、この種の批判的議論がますます洗練されるなど、日々進化しており、ESG関連の新しい規制ルール、プロキシーポリシー、投票ガイドラインが現在検討されています。

本アラートは、アメリカで事業を行う日本企業にとって重要なトピックと考えられることから紹介する次第です。詳細は、Jones Day Alerts “ESG and Moves to the Lone Star State”(オリジナル英語版)をご参照ください。

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