生成AIが生み出す興奮―そして著作権の懸念
過去数年間、AIはニュースの見出しを独占しており、AIの可能性と危険性についての認識と関心が高まっています。最近では、生成系AIの「チャットボット」に関する話題が非常に盛り上がっています。これらのAIシステムは、人間のような会話レベルでユーザーと関わり、またユーザーによる最も単純な入力によっても複雑なコンテンツを生成するように見えるためです。生成AIプラットフォームを使用して、マーケティング資料、翻訳、ソースコードなどの様々なコンテンツを作成する従業員が増えています。
生成AIプラットフォームの使用により、成果物の権利、侵害に関する検討事項(成果物の使用と基礎となるモデルのトレーニングの両方)、および生成AIを使用して作成したコンテンツの著作物性など、さまざまな著作権の問題が発生します。
生成AIはさらに普及し、さまざまな業界の従業員が使用するツールになることが予想されます。企業は、これらのプラットフォームを採用する場合、または従業員が会社に代わってこれらのツールを使用できるようにする場合、特に成果物がどのように使用されているか、または他の企業情報に組み込まれているかについて注意する必要があります。
3つのポイント
- 生成AIツールを使用してコンテンツを作成しようとしている個人および組織は、そのツールに適用される使用条件を理解する必要があります。この使用条件は、ツールに関連するWebサイトで入手できる場合があります。特に、その使用条件は、従業員が雇用主に代わって、または業務上そのようなツールを使用する場合その組織に影響を与える可能性があります。
- 生成AIツールのユーザーは必ずしも成果物の権利を保有するとは限らず、成果物が第三者の著作権を侵害しているとの申立てを受ける可能性があります。同様に、国によっては、著作権で保護された素材を使用して生成AIモデルをトレーニングすることにより、潜在的な著作権侵害の懸念が生じます。
- 生成AIツールのユーザーは、米国著作権局が最近発行した、AIによって生成された素材を含む作品に関するガイダンスに留意する必要があります。特に、ユーザーは、プロンプトを提供したという事実だけに基づいて成果物が著作権により保護されるわけではありません。成果物が著作権保護の対象となるためには、人間が著作したという側面が作品に含まれている必要があります。たとえば、創造的な人間の著作性を反映する態様で生成物を十分に変更する場合などです。
このコメンタリーでは、生成されたコンテンツの権利者、権利侵害および保護の可能性という観点から米国の著作権法と生成系AIとの関係を概観します。日本の著作権法とルールが異なる点もありますが、生成AIの使用への関心が高まる中、共通する潜在的な問題として米国法での議論も参考になりますので、ご紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “Generative AI Generates Excitement—and Copyright Concerns”(オリジナル英語版)をご参照ください。
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