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CFIUS(対米国投資委員会)年次報告書が示唆する罰則の増加と取引の審査における効率化

CFIUSの最新年次報告書によれば、近年に比べ届出件数自体は減少しているものの、罰則の増加と国家安全保障に焦点を当てた取引審査に関連する執行ツールの使用の増加が強調されています。

対米国外国投資委員会(以下「CFIUS」といいます。)は最近発表した年次報告書において、2023年に審査された取引に関するデータと注目すべき動向の概要を公表しました。報告書によれば、CFIUSが引き続き取引当事者のクロージング後の事業活動を監視するために軽減合意を活用していることを示しており、報告書には軽減措置の事例集も含まれています。また、報告書はCFIUSの規制や軽減合意の違反に対する民事制裁金の使用が増加していることも示しており、これは企業が取引を計画し、また軽減合意上の義務を履行する際に考慮すべき動向といえます。

2023年以前、CFIUSの歴史の中で民事制裁金が課されたのは2件だけでした。しかし、2023年には、CFIUSは軽減合意の重要な規定への違反に対して4件の制裁金を課しました。また、CFIUSは義務的な届出条項の不遵守に関する初めての正式決定を行いました。

CFIUSは申告対象となる取引について109件の申告を受理しましたが、これは2019年以来最低の届出件数であり、この減少についてCFIUSは2023年の世界規模での企業結合の減少によるものとしています。さらに、通知の件数は18%以上減少し、特に任意での通知の減少が顕著です。義務的届出の件数は2023年にはわずかに増加し、2022年と2021年には29%未満だったのに対して、届出全体の3分の1になりました。

CFIUSによれば審査効率は改善しており、2022年には23%だった届出の取下げ及び再提出の割合が5年ぶりに減少に転じ、2023年には18%となったことをあげています。また、一次審査(届出形式により30日又は45日)で承認がなされた件数は2022年の58%から2023年には66%となりました。

CFIUSは2023年に36件の軽減合意を締結し、2023年末時点で246件の軽減合意がモニタリング中となっています。モニタリング手段には、立入調査、取引当事者や第三者からの報告、潜在的な違反の調査、是正措置の監督等が含まれます。

この報告書を通じて、また上級の担当者による公的な発言、民間セクターへの働きかけ、近年の罰則の利用及び罰則権限の強化案を通じて、CFIUSはモニタリング及び法執行の強化を示唆しています。取引当事者は、取引リスクの分析及び取引の計画に関連して、これらの傾向並びにCFIUSの法律上の権限及び政治的な役割が高まっていることを十分に考慮する必要があります。

本アラートは、米国企業の買収に関心を有する日本企業にとって有用な情報ですので、紹介する次第です。詳細は、Jones Day Alert “CFIUS Annual Report Touts an Increase in Penalties and Efficiency in Transaction Reviews”(オリジナル英語版)をご参照下さい。

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