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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:米国司法省、企業からのリーニエンシーにより保護される従業員等の範囲を見直し

企業が米国司法省(Department of Justice)に、タイプBリーニエンシー(司法省が当該カルテルについて何らかの情報を得たのちに申請されるリーニエンシー)を申請した場合、申請時における当該企業の取締役、役員及び従業員(以下、「従業員等」)の全てについても、当該企業と同様、リーニエンシーの効果により訴追から免責されるというのがこれまでの司法省の実務でした。

しかし、2017年1月、司法省は、公表しているリーニエンシー・プログラムにかかるFAQを改訂し、当該カルテルに関して極めて責任の重い(highly culpable)従業員等については、司法省の裁量により、例外的にリーニエンシーによる訴追からの免責を認めないことを明記しました。2017年3月に行われた司法省の説明では、この例外に当たるのはかなり限定的な場合、すなわち企業がリーニエンシーを申請した時点で当該従業員等を訴追し得る十分な証拠を司法省が有している場合に限るとしており、当該例外が適用される場合はそこまで多くはないと予想されます。

司法省が実際に当該従業員等について上記例外を適用し、リーニエンシーによる訴追からの免責を認めようとしない場合、企業としては、司法省の捜査に協力する上で当該従業員の存在が不可欠である旨説明するなどして、司法省の当該判断の撤回を求めるべきです。

本コメンタリーは、米国で事業を行う日本企業にとっても有用な情報ですので紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “DOJ-Antitrust Revises Guidance on Coverage of “Current” Employees in Company Leniency Agreements”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。