直接上場での資金調達を可能とするためのニューヨーク証券取引所の規則改正に対する米国証券取引委員会の承認及びNASDAQによる同趣旨の規則改正の提案
米国証券取引委員会(以下「SEC」といいます。)市場取引部(Division of Trading and Markets)は、近時、直接上場に関連して新株発行での資金調達を行うことを可能とするニューヨーク証券取引所(以下「NYSE」といいます。)による規則改正案を承認しました。また、Nasdaq Stock Market LLCは、SECに対し、同趣旨の規則改正案を提出し、その承認を求めています。ただ、権限委譲に基づく市場取引部による当該承認に対しては、その審査を求める申立を行う意向を有する旨の第三者からの通知がなされ、当該通知に基づき、NYSEの規則改正は、SECによる何らかの措置が取られるまで効力発生が停止されています。
承認されたNYSE規則の効力発生が停止されたということは、伝統的な新規株式公開(IPO)手続に代わる待望の代替案が実際に採用されるまで、長く曲がりくねった道のりが続くという最新の展開を表しています。
直接上場に関連して新株発行での資金調達を認めることについてのメリット及びデメリットについては、様々な意見があります。一部の市場参加者がこの仕組みに対し、伝統的な引受けによる売出しと比較して株主保護に劣るなどと批判してきたことに鑑みれば、第三者から審査を求める申立を行う意向を有する旨の通知がなされたことは、特に驚くべきことではありません。NYSEは、SECに対し、規則の効力発生停止を解除するために迅速な措置を取るよう要請することが予想されます。
本コメンタリーは、米国市場における資金調達等を検討している日本企業にとって有用な情報ですので、紹介する次第です。詳細は、Jones Day Commentary “SEC Approves NYSE Rule Changes and NASDAQ Proposes Rule Changes to Permit Capital Raising in Direct Listings”(オリジナル英語版)をご参照下さい。
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