Global Legal Update Vol. 95 | 2023年9月号
ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。
知的財産
生成AIのエンドユーザ―向けのライセンス契約: ユーザーが知っておくべきこと
Generative AI End-User License Agreements: What Users Need to Know
生成AIの普及は急速に拡大しており、効率性とイノベーションのための膨大な機会を提供する一方で、新たなリスクも生み出しています。
生成AIシステムのユーザーは、これらの生成AIプラットフォームを管理するエンドユーザーライセンス契約(EULA)が、ユーザープロンプト、成果物の権利と所有権、データプライバシー、コンプライアンスと責任、機密性、及び成果物の使用制限の取扱いの点でかなり多様である可能性があることを認識する必要があります。
今後、生成AIツールのユーザーである企業及び個人は、自分たちの権利を十分に理解するためにEULAをチェックし、潜在的なビジネス及び法的リスクを軽減するために生成AIを対象とする内部ガバナンス手続きを策定する必要があります。
5つのポイント
- ユーザーは、成果物とインプットに関する法的問題がどのように扱われるかを具体的に理解するために、各プラットフォームとバージョンのEULAを詳しく調べる必要があります。
- 機密保持、データプライバシー及びセキュリティ法の意図しない違反、及び企業秘密などの知的財産の喪失を避けるために、生成AIシステムに情報を入力する前に、慎重な検討とレビューを行う必要があります。
- EULAがインプットと成果物の所有権を譲渡するか否かにかかわらず、生成AIの発明者/著作者、第三者の権利に対する成果物の権利侵害の可能性、オープンソースソフトウェアライセンスのコンプライアンスなど、多くの知的財産権の問題が残ります。
- 生成AIの成果物を人間がレビューすることは、不正確又は有害な成果物に関連する責任を回避するために非常に重要です。
- 企業はリスクを最小限に抑えるため生成AIに対応する内部ガバナンス手続きを策定する必要があります。
その他、2023年8月は以下の情報をAlert/Commentary 等としてお伝えしています。
独占禁止法・競争法
欧州司法裁判所の判決が、支配的地位を有する企業が存在しない所謂「ギャップ・ケース」に対する欧州委員会の提訴を促進する可能性は低い
ECJ Antitrust Ruling Not Likely to Jump-Start EC Deal Challenges in "Gap Cases"
合併ガイドライン-1960年代のマニフェストスタイル(The Deal)
Merger Guidelines—1960s Manifesto Style (The Deal)
商事・不法行為訴訟
世界のクラスアクション(集団訴訟)の動向:米国及びEU
Class Actions Worldview: Part I—United States and the European Union
近時の連邦第9巡回区控訴裁判所の判決が示唆する、海外における人権侵害に関する米国での訴訟リスク
Recent Decisions in the Ninth Circuit Highlight U.S. Litigation Risk in Relation to Alleged Human Rights Violations Abroad
サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護
EUにおける緊急事態対応の最新情報-主要な政策及び規制の更新(No.104)
EU Emergency Response Update – Key Policy & Regulatory Developments No. 104
オレゴン州が包括的なデータプライバシー法を制定した11番目の州に
Oregon Becomes 11th State to Enact a Comprehensive Data Privacy Law
消費者金融保護局、個人データを収集し提供する企業に対する包括的な規則制定を発表
The Consumer Financial Protection Bureau Announces Sweeping Rulemaking for Companies That Collect and Furnish Personal Data
フィナンシャル・マーケット
香港の企業買収法に係る証券先物取引委員会の改正案
Consultation Paper on the Hong Kong Securities and Futures Commission's Proposed Amendments to the Takeovers Codes
米国連邦銀行庁が大手銀行のバーゼルIIIに係る資本要件加重を提案
Federal Banking Agencies Propose Increased Capital Requirements for Large Banks
米国における暗号資産の「有価証券」該当性に係る、ニューヨーク連邦地方裁判所の2つの最新裁判例
Ripple and Terraform Labs: Two New York District Courts Address the Status of Certain Crypto Assets as Securities
訴訟・紛争解決
三大陸において航空会社が直面するグリーンウォッシング(偽装的な環境配慮)訴訟のリスク
Airlines Facing "Greenwashing" Litigation on Three Continents
シンガポールでの国際商事仲裁における時機に遅れた攻撃防禦方法の排除
Enforcement of Procedural Timelines in Arbitrations in Singapore
政府規制
米国が対中投資規制を公表
Biden Administration Issues Highly Anticipated Executive Order on U.S. Investment in China
米国の各当局が連携して通商法違反の自主申告を推奨するとともに、執行の強化を警告
Federal Agencies Highlight Benefits of Self-Disclosure, Emphasize Enforcement of Trade Violations in Tri-Seal Compliance Note
英国の広告規制当局によるグリーン・ウォッシングの取締り
UK's Advertising Regulator Cracks Down on Greenwashing
ヘルスケア・ライフサイエンス
化粧品に関する制度改正の明確化:米国食品医薬品局は登録及び製品リストに関するガイダンス案を発表
Clarifying Cosmetics Reform: FDA Issues Draft Guidance on Registration and Product Listings
ヘルスケア部門の脱炭素化
Decarbonizing the Health Care Sector
業界は研究室が開発した試験に対処する米国食品医薬品局の規制案が差し迫っていることを予想
Industry Anticipates Impending FDA Proposed Regulation Addressing Laboratory Developed Tests
医療決済商品及びヘルスケアの価格設定慣行を米国消費者金融保護局が注視
Medical Payment Products and Health Care Pricing Practices Draw CFPB Attention
知的財産
裁判所がAIによる創作物は人間による創作の要件を満たしていないとして著作権法により保護されないと判断-しかし残る疑問
Court Finds AI-Generated Work Not Copyrightable for Failure to Meet "Human Authorship" Requirement—But Questions Remain
プライベート・エクイティ
米国証券取引委員会がプライベート・ファンド・アドバイザー規制を導入
SEC Adopts Long-Awaited and Heavily Debated Private Fund Adviser Rules
証券訴訟・証券法規制執行
米国証券取引委員会によるサイバー・セキュリティに係る開示規制の導入-リスク・マネジメント、方針、ガバナンス、インシデントについて(外国発行体についても同様の開示義務を課す)
SEC Adopts Rules on Cybersecurity Risk Management, Strategy, Governance, and Incident Disclosure
米国証券取引委員会の財務報告・開示規制に係るエンフォースメントの状況(2023年夏号)
SEC Enforcement in Financial Reporting and Disclosure: Summer 2023 Update
テクノロジー
AIの先行きは慎重なフィンテックにとって有望(Law360)
AI Road Ahead Is Promising For Cautious Fintechs (Law360)
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